フリーランスになると、会社員時代とは異なる社会保障の仕組みに直面します。特に、老後の生活を支える年金制度については、よく理解しておく必要があります。
本記事では、フリーランスと厚生年金の関係について、以下のポイントを詳しく解説します。
記事のポイント
- 個人事業主でも一定の条件を満たせば厚生年金に加入できる
- 会社員からフリーランスになった場合の厚生年金の扱い
- フリーランスの年金受給額と受給資格
- フリーランスでも加入できる社会保険の選択肢
個人事業主は厚生年金に入れますか?
個人事業主であるフリーランスも、一定の条件を満たせば厚生年金に加入することができます。具体的には、以下のような条件が求められます。
- 従業員を雇用していること
- 事業所得が一定額以上あること
- 事業の継続性が認められること
これらの条件を満たしている場合、個人事業主は「適用事業所」として厚生年金に加入し、従業員と同様に保険料を納めることになります。ただし、従業員を雇用していないフリーランスの場合は、原則として国民年金に加入することになります。
個人事業主が厚生年金に加入するメリット
個人事業主が厚生年金に加入するメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
- 将来の年金受給額が増える
- 病気やケガで働けなくなった際に障害年金が受けられる
- 死亡した場合に遺族年金が支給される
このように、厚生年金に加入することで、より手厚い社会保障を受けられるようになります。
途中からフリーランスになると厚生年金はどうなりますか?
会社員からフリーランスになった場合、厚生年金の扱いはどうなるのでしょうか。結論から言えば、フリーランスになった時点で厚生年金の被保険者資格は喪失し、国民年金に切り替わることになります。
ただし、それまでの厚生年金の加入期間は無駄になるわけではありません。将来の年金額の計算に際しては、厚生年金の加入期間も合算されます。つまり、会社員時代に納めた厚生年金保険料は、将来の年金受給に反映されるのです。
国民年金の保険料はいくら?
フリーランスになると、国民年金の第1号被保険者として保険料を納める必要があります。2023年度の国民年金保険料は、月額16,590円です。この保険料は、全額が自己負担となります。
ただし、収入が少ない場合などには、保険料の免除や猶予制度が適用される場合があります。これらの制度を利用することで、保険料の負担を軽減することができます。
フリーランスは年金をいくらもらえる?
フリーランスとして国民年金に加入した場合、将来はいくらの年金を受け取れるのでしょうか。
年金額は、主に以下の要因によって決まります。
- 国民年金の加入期間
- 保険料の納付状況
- 在職老齢年金の対象となるか
国民年金の満額受給のためには、原則として40年以上の加入期間が必要です。また、保険料の未納期間がある場合は、年金額が減額されます。
フリーランスの老後は悲惨?
フリーランスの場合、国民年金だけでは老後の生活を賄うことが難しいと言われています。実際、国民年金の満額でも、月額約6万5千円程度(2023年度)に留まります。
このような状況を踏まえ、フリーランスの中には老後が不安という声も少なくありません。アンケート調査によれば、フリーランスの約6割が「老後が心配」と回答しているそうです。
厚生年金の受給資格はどうなる?
フリーランスになる前に、会社員として厚生年金に加入していた期間がある場合は、一定の条件を満たせば年金を受給することができます。
具体的には、以下のような条件が求められます。
- 60歳以上であること
- 厚生年金の加入期間が10年以上あること
- 保険料の未納期間が一定以下であること
これらの条件を満たしていれば、フリーランスであっても、厚生年金の受給資格を得ることができます。
自営業の厚生年金の代わりは?
フリーランスの場合、厚生年金に代わる社会保険として、以下のような選択肢があります。
- 国民健康保険
- 国民年金基金
- 小規模企業共済
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
これらの制度を上手に活用することで、フリーランスでも一定の社会保障を確保することができます。
フリーランスでも社会保険に入る方法
フリーランスでも社会保険に加入する方法として、近年注目されているのが「フリーランス向け社会保険」です。具体的には、以下のようなサービスがあります。
これらのサービスを利用することで、フリーランスでも健康保険や厚生年金に加入することができます。ただし、加入にはいくつかの条件があるので、詳細については各サービスの案内を確認する必要があります。
フリーランスの年金を増やすには?
フリーランスの年金を増やすためには、以下のような方法が考えられます。
- 国民年金保険料を増額する
- iDeCoに加入する
- 私的年金保険に加入する
- 資産運用を行う
これらの方法を組み合わせることで、将来の年金受給額を増やすことができます。ただし、リスクとリターンのバランスを考えながら、自身の状況に合った方法を選ぶことが大切です。
まとめ:フリーランスも厚生年金や社会保険の加入を検討しよう
本記事では、フリーランスと厚生年金の関係について詳しく解説してきました。個人事業主の場合は一定の条件を満たせば厚生年金に加入できることや会社員からフリーランスになった場合の厚生年金の扱い、フリーランスの年金受給額と受給資格、フリーランス向けの社会保険の選択肢などについて見てきました。
フリーランスの場合、国民年金だけでは老後の生活が不安という声も少なくありません。しかし、フリーランス向けの社会保険や私的年金などを上手に活用することで、将来の年金受給額を増やすことができます。
フリーランスの皆さんも、自身の状況に合った社会保障の選択肢を検討し、安心できる老後の生活を目指しましょう。
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